社内情報システム部門のコミュニケーション
「コミュニケーション」は、仕事上よく使われる言葉です。営業部門で働いている方は、日々、顧客とのコミュニケーションに工夫されていることだと思いますし、話し上手な営業の方とのコミュニケーションの場面では、ついついセールストークに引き込まれたりします。
社内のIT部門でも「コミュニケーション」は大事な要素です。IT部門内のコミュニケーションはもちろんですが、社内のシステム利用部門もシステム化のための要件確認などでのコミュニケーションの相手になりますし、予算獲得や会社のデジタル化/システム化のための方針策定には経営層もコミュニケーションの対象になります。
また、外部のベンダもコミュニケーションの大事な相手です。この記事では、外部のシステム開発ベンダとのコミュニケーションの2つのポイントについて解説したいと思います。
【第1のポイント】
相手が誰であれ、コミュニケーションの一番大事なポイントは「お互いの考え方や思考プロセスを理解すること」です。これは、対ベンダの場合にもあてはまります。
たとえば業務システム開発の場合、発注側(社内IT部門)も受注側(外部システム開発ベンダ)も「要件への適合性」「適正な原価」「期限内の納品」「品質の確保」は言葉として同じものを目指しますが、その内容には微妙な違いがあります。
一番わかりやすいのは価格です。受注側はできるだけ原価を抑えたいと考え、発注側は良いものをできるだけ安く買いたいと考えるのは当然です。また、要件についても、受注側はドキュメント(要件定義書)に書かれたものが「要件」ですが、発注側はドキュメントに書かれた要件の背景までを「要件」と考える傾向があります。
このように発注側はシステムが完成してリリースした後の利用部門の顔を思い浮かべるのに対して、受注側ではシステムを納品することが最終目標になる(納品後のメンテナンス契約も有りますが)という点で、大げさに言うと価値観が違うのです。価値観を合わせるための事前コミュニケーションに十分な時間を取りましょう。
【第2のポイント】
RFPに対する回答(提案書)をもとに協議する際には、社内IT部門で使う用語とベンダが使う用語のすり合わせをしましょう。
共通フレームなどで定義されてはいるものの、よく問題になる例のひとつが「プロジェクトマネジメント」です。一般的に、システム開発のプロジェクトは「目指した成果物を決められた期限内に決められた費用と決められた品質で納品すること」と言えます。そして、プロジェクトマネジメントは、そのためにプロジェクトのプロセスを管理することですが、外部ベンダでは、プロジェクト管理の中心が(ベンダの)自社内のチームになるのに対し、社内IT部門では、そのベンダもシステム利用部門も管理の対象になるのです。したがって、WBSの項目の内容が大きく違ってきます。RFPに対する提案書に書かれている「プロジェクトマネジメント費用」が、往々にしてベンダ社内管理費用をさしていることがありますので、「発注側の社内利用部門とのコミュニケーションまでしてくれるのか」と誤解しないようにしなくてはいけません。
別の例としては、システム開発の詳細フェーズの用語の違いがあります。これも標準的な定義がありますが、ウォーターフォールタイプのシステム開発であっても、それぞれのフェーズでの意味がベンダ各社によって違う場合がありますので要注意です。できれば、提案書の中で記載される「R&R表(Role & Responsibility役割/責任分担表)」をもとに、しっかりと用語の定義を統一させましょう。
今回、対ベンダとの2つのコミュニケーションポイントを解説しましたが、コミュニケーションの目標は「言った/言わない」「聞いてないよ」を防ぐことだと言えます。
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